ドアノブを回せない!関節リウマチの方のドア開閉問題は介護リフォームで解決!

ドアノブが回せない。関節リウマチの症状と介護リフォーム 住宅改修
株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役 遠藤哉

この記事を監修したのは

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役
一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士

遠藤 哉

「ドアノブを回せなくて困っている」という相談が寄せられましたので紹介します。

ご利用者様
ご利用者様

50歳になったころから関節リウマチと言われてもう15年。最近、痛くてドアノブを開けることが大変になりました。昔はなんてこともなかったのですが、今は関節が痛くて力を入れることができません。トイレに行くたびにドアを開ける痛みでつらく、夜中にトイレに行くとその痛みで目が覚めてしまって寝付けません。
息子にも相談したけれど忙しそうであまり取り合ってくれなくて。お金もあまり余裕がないので大掛かりなリフォームはできないし、どうしたらいいのかしら。

相談ありがとうございます。関節リウマチを患っていらっしゃり、ドアノブを回す動作で関節に痛みがあってつらいということですね。

株式会社ユニバーサルスペースの代表取締役、介護リフォーム本舗として100店舗を超える店舗のフランチャイズの代表をされる遠藤哉社長に伺いました。

遠藤社長
遠藤社長

ドアノブを回す動作は関節にかかる負担も大きく、関節リウマチの方だけではなく、多くのご高齢者にとって負担のかかる動作です。ドアノブをレバーハンドルに変更することで、ドアを開閉するときの負担を少なくしましょう。介護保険を使った住宅改修の対象工事なので、ご負担も少なく工事ができますよ。

関節リウマチの症状とドアノブの問題

まず、関節リウマチの特徴とその症状、ドアノブの問題について簡単におさらいしましょう。

関節リウマチの症状

ドアノブをレバーハンドルに変更する

免疫の異常により、手足の関節が腫れたり、痛んだりする病気である関節リウマチ(以下「リウマチ」)は、骨や軟骨が壊れて関節が動かせなくなり、日常生活に大きな制限をもたらします。炎症は関節だけでなく、目や肺などの全身にも広がることがあります。

リウマチの始まりには、熱っぽい、だるい、朝方の関節のこわばりなどの症状が現れます。その後、症状は小さな関節から大きな関節に広がり、手首やひじ、肩、足首やひざ、股関節などに影響を及ぼします。

リウマチの原因は免疫の異常により、関節を守る組織や骨、軟骨を攻撃することで起こります。感染、過労、ストレス、喫煙、出産、けがなどがリウマチの発症要因とされますが、原因の完全な理解はまだ得られていません。女性がかかりやすく、30~50歳代で多く発症します。日本のリウマチ患者数は推定70万人から100万人と言われています。

リウマチには全身の微熱、体重減少、貧血などの他、関節のこわばり、炎症、関節水腫、腱鞘炎、関節変形などの関節症状が現れます。さらに、リウマチによる肺障害や血管の炎症による悪性関節リウマチ、アミロイドーシスなどが生じることもあります。

このため、手指や足の関節の腫れ、痛み動かしにくさにより、日常生活に多くの影響を及ぼします

関節リウマチとドアノブの問題

ドアノブ

関節リウマチの方の場合、手関節の炎症や腫れにより、ドアノブを掴む際の動作が著しく制限されます。ドアノブ(握り玉とも呼ばれる)を回すためには、手首と指を使って特定の角度で力をかける必要がありますが、関節リウマチの方にとってはこの動作が苦痛を伴うことがあります。関節の変形が進むと、ドアノブを開ける動作が不可能に近い状態になることもあります。そのため、ドアの開閉が日常生活での障害となることがあります。

特に、一般的な日本の住宅多くは開き戸を採用しており、ドアノブを回すことが日常的な動作として求められます。トイレに行くときのドアの開閉、自宅や部屋の出入りなど、些細な作業にも関節の動きの制限が影響を及ぼします。

トイレに行くときのトイレのドアを開ける、自宅や部屋の出入り、などの日常的な行動が困難になることで、関節リウマチ患者の生活には多くのストレスや不便さ、困難さを増幅させ、日々の活動に対するバリアとなります。

そのため、介護保険を利用してドアノブを変更することがひとつの解決策となります。

ドアノブを変更するメリット

介護保険を活用してドアノブを変更することは、関節リウマチ患者にとって大きなメリットをもたらします。要支援・要介護状態の方が日常生活を送るのに困難な部分をリフォームを助成する介護保険の住宅改修という制度があります。この制度を活用することで、関節リウマチによるドアノブ操作の困難を解消することができます。

レバーハンドル

ドアノブの交換は、開閉が容易なレバータイプのものに変更することが一般的です。この変更により、ドアを手軽に開け閉めできるようになります。レバータイプのドアノブは、手のひらや手の指で押したり引いたりするだけで開閉が可能なので、手首や指の関節に負担をかけることなく操作できます。これは、関節リウマチの方々にとって大きな利点となります。

ドアノブ交換がもたらす利点は、日常生活における自立性と快適さを高めることにあります。開閉が容易になることで、トイレや部屋への出入り、家事など、関節リウマチによる日常動作の障害を軽減することができます。さらに、非常時や緊急時にも迅速にドアを開け閉めできるようになるため、安全面でも大きな改善が見込まれます。

このようなリフォームは、関節リウマチの方々がより快適に日常生活を送るために役立ちます。比較的安価なリフォームであり、なおかつ介護保険を活用することで費用負担は工事にかかった費用の1~3割で済みます。住宅改修の制度についてはこちらをご参照ください。

使いやすい扉にするためのアイデア

関節リウマチの方に適したドアノブを選択する際には、いくつかの特徴を考慮することが重要です。まず第一に、操作が容易であることが求められます。指や手首への負担を最小限に抑えるため、先に照会したレバーハンドルに交換することが推奨されます。レバーハンドルは、手のひらや手の指を使って簡単に操作でき、関節の可動域を大きく取ることができます。

ドアノブに取り付ける簡易的なドアレバー・ドアハンドルを取り付けることもできます。介護保険の適用はありませんが、安価に購入することもできる商品ですので、一時的にこのような商品を使って対応するというのもひとつの方法です。

レバーハンドルだけでなく、開き戸から引き戸への変更も、関節リウマチの方にとって有益な選択肢の一つです。引き戸は、開閉が容易で操作が簡単なため、関節にかかる負担を軽減できます。開き戸では回転させる必要があるため、関節への負担が大きくなりがちですが、引き戸は手首などの関節を使うことなく開閉ができるため、関節の負担を軽減できます。

また、引き戸は空間を有効に使えるため、ドアを開ける際のスペースに制限がなく、使いやすいという利点もあります。開き戸の場合では開閉時に前後に重心移動が発生しますが、引き戸の場合はその場で開閉ができるため転倒のリスクも軽減できます。このような利点から、開き戸から引戸へのリフォームは関節リウマチの方にとって、より快適な生活を提供する可能性があります。もちろん引戸への変更は介護保険の住宅改修対象になります。

取り付けに関しては、専門のリフォーム業者に依頼することが望ましいです。関節リウマチの方々に適した使いやすい状態で提案してくれます。また、ドアまでの動線や、それ以外にも生活に支障のある場面について提案してもらうことができますので、専門の業者に相談することをお勧めします。

まとめ

関節リウマチの方のドア開閉に関する問題について紹介しました。

ドアノブが使いにくくなるのは関節リウマチの方に限ったことではありません。脳梗塞などの脳血管性疾患により、関節拘縮や可動域の制限があり、ドアの開閉が難しい場合もあります。若い方であってもテニス肘など肘に障害がある方にとっては、握ってひねる動作で強い痛みが発生することがあります。

ドアノブに不便を感じたら、レバーハンドルに変更することを早めに検討しておくことをお勧めします。

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役 遠藤哉

この記事を監修したのは

遠藤 哉

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役
資格:一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士

大手ハウスメーカーを経て、2009年に株式会社ユニバーサルスペースを創業。介護リフォームに特化し、「介護リフォーム本舗」として全国100店舗超を展開している。チェーン全体での介護リフォームの累積工事件数は約120,000件を超える。