ケアマネがいないけれど、介護保険で住宅改修ってできるの?介護リフォームのお悩み解決。

ケアマネいないけれど住宅改修ってできますか? 住宅改修
株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役 遠藤哉

この記事を監修したのは

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役
一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士

遠藤 哉

介護保険で住宅改修をしたい!でも、ケアマネジャーさんがいないと、住宅改修ってできないの

実家の母が高齢で膝も悪いんです。でも自分で何でもやるって本人が言うので、介護保険の認定だけは受けたんですけど、介護保険のサービスは今まで一度も使っていないんです。

トイレで立ったり座ったりするのも大変みたいだから、介護保険で手すりをつけてもらいたいんですけど、ケアマネさんがいないと住宅改修ってできないんですか?

ケアマネはいないけれど(介護保険のサービスを利用していないけれど)、住宅改修がしたい、というご相談です。

累計11万件以上の住宅改修をお混ってきたフランチャイズグループ「介護リフォーム本舗」の本部、株式会社ユニバーサルスペースの遠藤社長に伺いました。

株式会社ユニバーサルスペース<br>遠藤社長
株式会社ユニバーサルスペース
遠藤社長

担当ケアマネジャーがいなくても、介護保険の認定を受けていれば住宅改修は可能です。

お住まいの地区を管轄する地域包括支援センターに相談すると、
制度の説明や、住宅改修業者の選定、住宅改修に必要な書類などに関しても相談に乗ってくれますので、安心してください。

ケアマネジャーがいなくても住宅改修で失敗しない方法について解説していきます。

【この記事を読んでほしい人】

  • ケアマネジャーはついていないけれど、住宅改修をしたい人やそのご家族
  • 住宅改修の相談を受けることの多い工務店など
  • ケアマネジャーのいない利用者からの相談を受けた福祉用具専門相談員

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターとは

ケアマネがいなくても住宅改修できますか?

結論から申し上げると、担当のケアマネジャーがいなくても、地域包括支援センターに相談することで介護保険を使った住宅改修は可能です。

地域包括支援センターというのは地域における介護に関する総合的な相談窓口です。介護保険の申請や各種手続きだけでなく、虐待に関する相談、地域での課題についての話し合い、ケアマネ支援など、様々な役割を持っています。自治体やサービス事業所、様々な関係機関と連携する中心的な役割を果たすのが地域包括支援センターです。

地域包括支援センターに関する詳細はこちらのページに掲載していますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください(市町村によって、「地域包括支援センター」という名称を使っていない場合もありますのでご注意ください)。

住宅改修の相談も地域包括支援センターで対応可能

担当ケアマネジャーがいればケアマネジャーに相談するのですが、もし担当ケアマネジャーがいないのであれば地域包括支援センターに相談しましょう。住宅改修に関する相談も地域包括支援センターで対応しています。

地域包括支援センターは担当エリアが決められています。管轄外の地域包括支援センターでは相談できません。担当の地域包括支援センターがどこか、市町村のホームページで調べるか、役所などに電話で確認することをお勧めします。

地域包括支援センターでは、住宅改修に関して以下のような対応をしてくれます。

  • 住宅改修の流れについての説明
  • 住宅改修業者の紹介
  • 住宅改修の打ち合わせ・現地調査の立ち合い
  • 住宅改修が必要な理由書の作成

地域包括支援センターには地域の情報が集まってきます。住宅改修に強い工務店や住宅改修に対応する福祉用具事業所など、様々な選択肢の中から、最善と思われる提案をしてくれます。もちろん、複数の業者を候補を紹介してもらうことも可能です。

住宅改修に関する相談をすると、地域包括支援センターから相見積もりを提案さられることもあります。これは、介護保険の制度上、ケアマネジャー等相談支援者は複数の事業者に見積もりを作ってもらうよう利用者に提案しなければいけない、というルールがあるからです。

ただ、相見積もりをすると、その分工事までに費やす時間もかかってしまうことや、少額な工事だと金額のばらつきは大きくないというのが現状です。提案する側は相見積もりを勧めなければいけませんが、利用する側に義務はありませんので、相見積もりをとる必要はありません。

金額が大きな工事の場合や、工事に関する提案内容に納得がいかなかった場合など、必要な場合には相見積もりを検討することをお勧めします。

地域包括支援センターでは要支援・要介護の認定に関係なく相談を受けてくれます。要支援でサービスを利用されている方は地域包括支援センターの職員が担当としてかかわっている場合も多いと思います。

(要支援でも、委託としてケアマネジャーが関わっている場合は担当のケアマネジャーに相談してください)

住宅改修に関する基本的な流れはこちらの記事をご参照ください。

その場所の写真を持っていくと情報共有に役立つ

階段の写真を撮る女性

もし地域包括支援センターに直接行って相談をする場合には、家の中で困っている部分についての写真をスマートフォンや携帯電話などで撮っておいて、画像を見てもらうのがいいでしょう。口頭で伝わりにくい情報でも、写真であれば正確に伝えることができます。地域包括支援センターの職員と情報を共有することで、業者選択の判断材料にもなります。もちろん、本人が実際にその動作をしている動画あればより正確な情報を共有できます。

どんな工事が必要でどんな施工業者が適しているか、地域包括支援センター職員が最適な提案をするための重要な判断材料となります。

住宅改修が必要な理由書は誰が作成するの?

ケアマネジャーが作成する書類「住宅改修が必要な理由書」

温和な男性ケアマネジャーのイメージ

介護保険の住宅改修は保険者である市町村等自治体が許可をして初めて着工ができます。申請のための書類の中には「住宅改修が必要な理由書」というものがあります。この書類がなければ住宅改修の申請ができません。

この書類の作成を行うのがケアマネジャーです。

本人の身体状況や受けている介護の状況、具体的に困難な動作や住宅改修後の効果などを、自治体が指定する書式に書き出します。この書類があってはじめてその住宅改修が利用者の自立支援につながるものとして認められます。住宅改修におけるケアマネジャーの大きな役割のひとつがこの書類作成になります。

住宅改修が必要な理由書に関してはこちらの記事に詳しくまとめています(ケアマネジャーを含め住宅改修理由書を作成する方向けの記事ですが、もし興味があればご覧ください)。

住宅改修におけるケアマネジャーの役割

住宅改修・介護リフォームの相談

理由書の作成だけに限らず、住宅改修においてもケアマネジャーは重要な役割を果たす存在です。本人の意向を確認するだけでなく、普段の生活状況や動作パターン、疾患やリスク、家族の状況なども含めて多くの情報を持ち、課題に対して適切な支援策を調整します。このように事業者間での情報共有・連携のカギとなるのがケアマネジャーです。

認知症やコミュニケーションの障害を持っている利用者も、ケアマネジャーが代弁者としての機能を果たすことで、必要なサービスが提供される仕組みが介護保険制度の特徴です。成年後見制度などが未成熟な日本の社会システムにおいては、ケアマネジャーにかかる負担や責任は非常に大きいことがわかります。

ただし、ケアマネジャーはどの地域にも十分にいるわけではなく、ケアマネジャーが不足する地域も増えています。地域によっては、サービスを利用したくてもケアマネジャーがいないという「ケアマネ難民」という状況が起きています。ケアマネが不足している問題についてはこちらの記事でまとめていますのでご参照ください。

ケアマネジャーの多くは民間の営利企業や社会福祉法人。介護保険からの介護報酬を得て事業所運営しています。ケアマネジャーは担当する利用者のケアプランを作成し、サービスの調整を行い、サービスの実施状況を行政に報告することで報酬を得ています。住宅改修の理由書の作成に関しては、ケアプランの一環として作成するものとされ、理由書の作成だけで報酬を得ることはできません。つまり、住宅改修理由書の作成自体は無報酬です。業務がただでさえ多忙なケアマネジャーなので、完全ボランティアの書類作成は受けてもらえない場合が多いです。

この書類作成、ケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターにお願いすることで作成してもらえます。また、地域包括センターから依頼を受けて、作成に必要な知識・資格(福祉住環境コーディネーター2級以上など)を持った施工業者が代理で作成することが認められる地域もあります。

理由書だけでなく、ケアプランにも住宅改修に関する項目を記述するかどうか、こちらの記事にも詳細を記載しています。

ケアマネなしの住宅改修、注意したいポイント

住宅改修は相談の後、現地調査・書類申請・着工・支払という流れで進みます。

ケアマネジャーなしで住宅改修をする場合は以下のポイントを意識しましょう。

  • 病気や普段の歩き方、これまでの転倒エピソードなどの情報を整理して伝える
  • 困っている部分の動作を実際に見てもらう
  • 住宅改修以外の解決策が必要な場合にはケアマネジャーが必要に

普段の状況やエピソードを整理する

担当ケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーが利用者の情報をしっかり把握しているので、本人の状況や動作の特徴、リスクなどをしっかり説明してくれます。ただ、ケアマネジャーがいない場合は、本人・家族等がそれを施工業者や地域包括支援センター職員に伝えなければいけません。

「どんな動作で困っている」という情報だけでは本人にとって最善の提案ができません。どんな病気を持っているのか、普段どんな歩き方をしているのか、これまでに転倒することなどがあればどんな場面でどのように転倒したのか、などの情報が整理されているといいでしょう。

実際に動作を見てもらう

廊下を歩く高齢者

また、実際に困っている部分の動作を見てもらうことで課題の整理や改善策などにつなげていくことができます。同じ手すりの取付工事でも、取り付け方の違いだけで、その後の生活の質は大きく変わります。せっかく取り付けた手すりも、使われなくては意味がありません。もし、壁に手をついているのであれば、いつもどの位置に手をついているのか、何を手掛かりにしているのかなどの情報はとても重要な情報となります。力の入れ方は、重心の動きは、足の上がり方は?

専門職は様々な情報から最適な方法を探っていますので、実際に動作を見てもらうことはおおきなヒントになります

住宅改修だけで解決しない場合

すべての課題が住宅改修で解決するとは限りません。住宅改修だけで解決しない場合はケアマネジャーが必要になる場合もあります

こんなときにはケアマネジャーが必要

  • 手すりがつけられない場所なので福祉用具の手すりを使いたい
  • 手すりのない場所は歩行器や4点杖をレンタルしたい(2024年4月以降、購入で対応できる場合はケアマネジャーがいなくても大丈夫)
  • 転倒予防のためにリハビリが必要
  • 自宅での入浴は無理そうなのでまずはデイサービスで入浴したい

課題の解決方法はひとつではありません。

専門職のアドバイスをもとに最良な解決策があればそれを優先しましょう。

まとめ

ケアマネジャーなしで住宅改修をする場合について紹介しました。

ケアマネジャーがいなくても住宅改修はできます。まずは地域包括支援センターなどに相談しましょう。住宅改修だけで解決できない場合もありますので、様々な選択肢の中から最善の方向を見つけていきましょう。

※住宅改修の施工業者は経験豊富な業者がいい!という方は私たちのフランチャイズグループ「介護リフォーム本舗」も候補としてご検討いただければ幸いです。

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役 遠藤哉

この記事を監修したのは

遠藤 哉

株式会社ユニバーサルスペース 代表取締役
資格:一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士

大手ハウスメーカーを経て、2009年に株式会社ユニバーサルスペースを創業。介護リフォームに特化し、「介護リフォーム本舗」として全国100店舗超を展開している。チェーン全体での介護リフォームの累積工事件数は約120,000件を超える。